「私、車に乗せてもらったけど、彼の姿見つけたら黙ってられなくて…」


走って走って、
追いかけた。


だけど



「倉田さんには…違う女性がいました。」


彼には、
傘を差し出してくれる、
大切な女性がいた。


「私、わけわかんなくなっちゃって…
女性は、一度この店に来たんです。
倉田さんはきっと、私に、私たちに何か隠してる。


聞きたくても、君には関係無いと跳ね返されそうで怖いんです。」

いつかの、
あの険しい表情のように。


笑わなくなってしまうのが、怖い。


私、ほんとに何も知らないから


彼のこと、何も知らないから。



「栗田、お前…
ほんとにあの兄ちゃんのこと、
好きなんだな。」



お前は、ほんとに好きなんだよ。