良い、こと…?


「あったんだろ〜?」


ニヤニヤと笑いながら
私の顔を覗き込む。


「なに笑ってるんです?」


「え、いや〜だってさ、家だろ?だったら〜ねぇ…


「店長の変態っ!」


バシッと店長の背中を叩き
いてぇ〜と店長が嘆く。



「…ねぇ、店長。」


「ん?」


「男の人って、好きでもないのに優しくしたりするんですか?
他に…他に好きな女性がいても…」



「栗田?」



店長が不思議そうに私を見る。



「…私、あの雨の日、見ちゃったんです。
スーツ着て、雨の中立ってる倉田さんを…」



今でも鮮明に覚えてる。


雨に打たれて、
苦しそうな顔をした、彼を。