視界が暗くなった。


急なことで何かわからなかったけど、
それは彼が私の目の前を掌で封じたから。



「…あのっ……


そう言った瞬間、
唇に感じた暖かい温もり。


視界が塞がっているからわからないけれど、


確かに感じる、柔らかい温もり。

すっと彼の掌が去り、
代わりに見えたのは


私を見る、
綺麗で鋭くも、悪戯な眼差し。


私、今この人と……


「また、会いにいくね。」


やんわりと、私に告げる。


歩き出した彼に、
はっと目が覚めて私も足を進める。


「あのっ…今日はご馳走さまでした。」


慌てて言うと、


彼はピタリと足を止め、
振り向いた。