「………えっ?」


「お待たせ。」


ええええ〜〜!!


いつの間にか
スラリと背の高い彼が、
腰を少し屈めて私を見下ろしていた。


恥ずかしい!もしかして見られてた?!


「ごめんね。だいぶ待った?」


「い、いいえ!全然、です。」


うわっ。なんか上手く話せない。


「なら、良かった。」


安心したように、目尻を下げて笑う、倉田瑞季。
椅子を引き、腰をおろす。



それだけで、私の心拍数は高まる。


あ、ええと…マフラー、
マフラーを渡そう!!


そう決めて、鞄の中にあるマフラーを取ろうとすると、



「何がいい?」


「…えっ?」


「ここはね、パスタがすごく美味しいんだ。
気に入るといいんだけど」


そう言って、メニューを私の前に広げた。