「あははは!コイツ照れてやがる!」
「ちょっ…店長!!」
私たちのやり取りに、
お客さんもクスクスと笑う。
「ねぇねぇ、イケメンのお兄さん!」
前のほうの席の若い二人組の女性が、倉田瑞季へと声をかける。
「お兄さんは、何か歌わないの〜?」
甘ったるい声で言い、
上目遣いで彼を見つめる。
「えっ、お客さんも演奏できるの?」
店長はその挑発に乗るように、
彼の肩を叩いた。
「…まぁ、はい。」
彼は苦笑しながら、頷く。
おおー!と歓声が上がり、
「栗田!お前のギター貸してやれ!」
「あっ、はい。」
私のギターを渡した。