――確かに。
私が出たくない理由て何だろう?
もうプロを目指すのをやめたから?
いまの現状で満足してるから?
……いや、たぶん違う。
私は、怖いんだ。
私の歌を、評価されるのが怖いんだ。
今のこのふわふわと温かい毎日に浮遊してたいから、
私はそれを『満足』と感じているから、
その先を求めるのがこわいんだ。
大切なものほど、
失わないように、
まるで壊れもののように、扱うから……
――今、私は変われるだろうか?
「私…考えてみます…!」
「栗田…」
店長は驚きを隠せない様子。
「そうこなくっちゃ。」
反対に菅原さんは満足そうに笑った。
私も、ぎこちなく笑う。
――歌う。
何の為に?
誰のために?
きっとそれは、
もう私の中に、ある。