逃れるように、私はお風呂場へ向かう。
ほかほかと温かい、彼の上着。
「償えるなら…償いたいよ…」
擦れた声に抱き締められた。
さっきよりも、強く。
私の体は少しのけ反り、
暖かい室内で、体が必要以上に火照る。
――だめだ、感覚を失う。
ふわふわとして、支えられていなければ倒れてしまいそう。
そんな中、倉田瑞季がシャワーを捻る。
ザザーッと流れだす冷水。
一気にびしょ濡れな私達。
彼は私の向きを変え、向かい合う格好へと変わる。
激しいシャワーの音は、まるで雨のように、
私達の上に容赦なく降り続く。
彼は私の耳に唇を寄せ、
「好きだよ…」
甘く、そして苦しげに呟いた。
外も家も、鳴り響く雨。
彼の唇に指先に、私は溺れていった。