倒れそうになる体を、
シンクの縁を掴むことでなんとか支える。


「…だ…め、です。」


駄目だ、流されちゃ、いけない。

彼の唇が胸元まで下りたとき、
肩を掴んで止めた。


「こんなことしちゃ、駄目です。」


涙目での訴え。
それとは対照的に、
私を見る、鋭い瞳。


「…これで、償っている、つもりなんですか?」


挑発的な、言葉。
とうとう、言ってしまった。








「ずっと…騙してたのに…」





堪え切れなくなり、
溢れだす涙。


震えだす、体。


彼の腕から、力が無くなるのがわかった。


(図星…なのか…)



それと同時に鳴った、乾燥機の終わりを告げる音。



なんだか間抜けに響き渡る。
この音って、こんなに大きかったっけ?


なんて考えてしまったり。
まるで、サイレンのようだ。