「それで、社長が彼の父親の、
倉田 譲(クラタ ユズル)。
つまり、倉田瑞季も私と同じ、レコード会社の社員なの。
あなたのことは、倉田から色々と聞いたわ。
もちろん…」
仕事として、ね。
プツン、と何かが切れた気がした。
「勘違いしてた?
倉田は、仕事として、あなたと会ってたの。
つまり、“商品”としてね。」
「ごめんなさいね。」
と笑いかける。
ガタガタと自然に震えだす体。
私は、
私は、商品だったの?
だから優しかったの?
だから、だから……
たくさんの「だから」が溢れだし
私は意志よりも先に、
走って店を出た。