すると、剥きになったジャンヌを静める様な口調で、ミカエル先生はこう言いました。



『良いかい?ジャンヌちゃん良く聞いて。』


『ん…』


『今、君が居るのは、間違いなく14世紀のフランスだ。』


『そして、そこは、僕達、時間学の研究員達の中では、決して“行ける筈の無い場所”なんだ。』


『だから、今現在、君が何故14世紀へと行けたのかが全く解らないんだ。』


『それに、君がさっき言った“この通信”自体も、何故繋がるのか解らない。』

『しかし、通信状況は初めに比べると悪化する一方だし。』


『もしかしたら、“今”この会話の途中で、通信が途絶えるかもしれない。』


『だから、いつ通信が途絶えても平気な様に、最初に言っておくね。』


『まず。第一に、その場からあんまり離れないでくれ』


『万が一、通信が途絶えてから、君が移動してしまったら、また探さなくちゃ行けなくなるからね』


『第ニに、君が居るその時代の人とはなるべく関わらない様にしてくれ』


『この理由は解るよね君が、その時代の人と関われば、下手をしたら、歴史が大きく変わってしまうかもしれないからだ』


『そして、これが最後だけど』



そうミカエル先生がジャンヌに説明をしている間にまた通信状況が悪くなり始めました。



“ザーッ”“ザーッ”


『ジャンヌちゃん。その時代の人の前で魔法化学は絶対に使っちゃ駄目だよ』

『君が今居る14世紀のフランスでは“魔女狩り”が存在する。』


『そんな時代に“魔法化学”なんて使ってるところを見られたら、君は確実に魔女にされてしまい、君を助けるどころじゃ無くなってしまうからね。』