そして、ミカエルとジャンヌの会話が終わり、ジャンヌは俺の方を見て、俺にこう言った。



『じゃあね。“ジャンヌ・ダルク”さん。』


『短い間だったけど、ありがとうね。』



ジャンヌのその言葉に、俺もすぐ、返事を返した。



『いや、礼を言うのは俺の方だよ』



すると、ジャンヌが俺にこう言った。



『でも、今でも不思議でしょうがないの…』


『不思議って何が?』


『えぇっと…上手く言えないんだけど…貴方とは初めて逢った筈なのに、貴方の事を、他人とは思え無かったって言うか…』


『あぁ、俺もそんな気がした。』


『でも…きっと、貴方と私は住む世界が違うのよね?』


『い、いや…それは…』



俺は、咄嗟に何て言って良いか解らず、言葉が詰まった。


すると、ジャンヌはそんな俺に、こう言った。



『別に隠さ無くても良いわ。何と無く解るのよ。』


『貴方をここに連れて行こうって決めた時から。』


『そして…もう二度と貴方と逢う事は無いだろうと言う事も全て。』


『ジャンヌ?…あ、あのさぁ…何か、あんまり上手く説明出来ないけど。』


『これだけは言わしてくれよありがとうなマジで』


『“マジ”って?』


(あっ、そっかぁ。)


『えぇっと…“本当に”って意味かなぁ』



すると、ジャンヌがそっと右手を俺の方に出した。


そして、俺も右手をジャンヌの方に出し握手をした。

そして、ジャンヌは握手をした後、微笑みながら俺にこう言った。


『じゃあね。元気でね』


そして、ジャンヌがそう言った後、ミカエルの声が聞こえた。



『では、行くが良い“神に選ばれし者”ジャンヌ・ダルクよ


『はい。』



そう言ったジャンヌは一人静かに、森の中へと消えて行った。


そして、俺はそんなジャンヌの後ろ姿を見届けていた。