『でもね、“奇跡”は僕にとっては怪奇現象でもなんでも無いと僕は思ってるんだ』


『“奇跡”…ですか?』


『君は、カトリーヌちゃんにとっての奇跡とはどんな事を指すと思う?』


『えぇっと…“普通じゃ考えられない事”をする事…ですか?』


『う〜ん、それだと僕の中では80点かな』


『僕の中で奇跡って言うのは、“努力”をしても決して届かない“領域”に入る事だと思うんだ』


『努力をしても入らない領域?』


『そうしいて言うなら、この世の中で“最も強力な運の塊”ってところかな』


『“強力な運”と“偶然”が重なり“奇跡”になる』


『僕はそう思ってる』


『でも…もし“奇跡をも上回る力”があるとしたらどうする?』


『“奇跡を上回る力”?』

『そうそれこそが“運命”って奴さ』


『運命?…』


『ミカちゃん先生は“運命”を信じるんですか?』


『僕は、運命を信じてはいないよ』


『いや、正確には“信じて無かった”ってところかな。』


『でも、今まさにその“運命”って奴を信じざる負えない状況だよね』


『もし…もし、このままあの14世紀のジャンヌさんにこれから起こる出来事を助言しなかったら、運命は変えられるんじゃ無いですか?』


『確かにね…でもねぇ、それは無理なんだよ』


『何故ですか?』


『もし、もし君の言う通りあの14世紀のジャンヌちゃんに助言しなければ、多分運命は変えられる…』


『でも…“運命を変える”って事は、“歴史を変える”事になってしまう。』


『さっきの授業でも言っただろう?“歴史”は変えちゃ行けないんだ』


『もし、歴史を僕達が変えてしまったら下手をすれば、僕や君が生まれて来なくなるかも知れない。』


『もしかしたら、世界自体が消え失せるかも知れない。』


『歴史を変えたら何が起きるか分からないんだ』


『だから、変えちゃ行けないんだ。』


『もし、“運命”って言う物を創った人が居るとしたなら、そうならない為に、“人が過去に行けない”様にしたのかも知れないね。』