そう言うと、マルグリット先生は別の教室に、歴史の教科書を取りに行きました。



(ミカエル先生、なんか“楽しそう”…でも…)



私はミカエル先生にこう言いました。



『ミカちゃん先生今は、それどころじゃ無いんですよ』


『ジャンヌの…ジャンヌの命が掛かっているんですよ』



すると、ミカエル先生は私にこう言いました。



『カトリーヌちゃん。君の気持ちも良く分かる』


『だから君の意見も、最もだ』


『それなら…』


『しかしねぇ、これは“定められた歴史”なんだよ。』


『“定められた歴史”?』

『そうしかも、これは今の僕達にしか出来ない事なんだ』


『“定められた”って一体誰にですか』


『私は、そんな誰か知らない人に定められた歴史なんかより、ジャンヌの方が何倍も大切なんです』


『確かにねぇ…それを定めたのが誰なのか?“神”か“悪魔”かそれは僕にも分からない。』


『でもねぇ、逆に言えば、君は、これが単なる偶然だと思うかい?』


『それは…』


『一応、僕も化学者だからねぇ〜、神や悪魔、奇跡や偶然、怪奇現象とか、そう言う“不確定”な物はあまり信じてはいないんだ』

『でもねぇ、昔の化学者のとある人は、化学者なのにも関わらず、化学者とは思えない様な“名言”を残してるんだ』


『化学者とは思えない名言?…ですか?』


『それはね、“世の中には2通りの考えを持つ人がいる”』


『“一つ目は奇跡なんか無いと思う人”』


『“二つ目は、毎日起こる出来事こそが奇跡だと考える人”』


『この言葉はねぇ、さっきの魔法化学の授業中に僕が話していた相対性理論の生みの親でもあるアインシュタイン博士の言葉なんだ』


『僕はねぇ、実際目に見える物しか信じない主義だから“幽霊”や“神様”と言った類の物はあまり信じてはいないんだ』