俺の前に居たロベールが目では追い付けない素早さで俺の後ろへ回り込み、それを側で見ていたハイドが俺に相手が後ろに来た事を知らせた。


しかし、俺が後ろを振り返った瞬間、勝負は決まっていた。



“ブシュー”


『うっ…うぁぁぁあ』


“バタン…”


『ロ〜〜』



俺は背中から斬られ、その場に倒れ込んだ。


目の前で俺がやられたのを見たハイドは怒り狂いながら素手でロベールに向かって行った。



『うおぉぉよくも、よくもローを』


『うおぉぉぉ』


“ドン”…


『うっごふっぁ…げほっげほ…』


“ドタ”



ロベールは自分に向かい走って来るハイドの腹に、膝蹴りをかまし、ハイドはその勢いで少し離れた場所に吹っ飛ばされ、腹を押さえながら、その場にうずくまった。



『ハイド君、君はまだ私に再戦を申し込むには早過ぎる。』



ロベールはうずくまるハイドにそう言った。




“ザーッザーッ”


『うっ…うっ…ハ…ハイド…お前だけでも逃げろ…』


俺ははいつくばりながらロベールの片足を掴み、ハイドに逃げる様に言った。


するとロベールは俺をひきづりながら一歩、また一歩とハイドの方へ歩いて行った。



『ハ…ハイド…頼む…頼むから逃げてくれ……』


『ここで2人とも捕まったら俺達は本当に強くはなれなくなっちまう…だから……早くぅっ』



俺のその言葉を聞いたハイドはゆっくりと立ち上がり、俺達の前から去ろうとした。



『そうはさせん』


“ブスッ…”


『ん』



ハイドが走り去る瞬間、それをさせまいとロベールがハイドを追い掛けようとしたので、俺は最後の力を振り絞り自分の持っていた剣をロベールの足に刺して足止めをした。



『へっへへ…』



俺は薄れ行く意識の中で、ハイドが走り去る姿を確認し、薄ら笑いを浮かべながら、完全に意識を失った。