『それと君は、少し間違っている。』


『確かに君の言う通り優れた剣客にはそれ相応の剣が必要だ。』


『しかし、剣もその使い主…つまり剣客を選ぶ。』


『剣が人を選ぶ?』


『私の名は“ロベール・ド・ボードリクール”今はヴォークルールの守備隊に私は属している。』


『“ヴォークルール”?…』


『“守備隊”?…』


『まぁそう深く考え無くても善い。速く言えば、私や私の仲間は国王の飼い犬と言ったところだ。』


『そんな犬ッコロが何しに来たんだ?』


『君を始末しに来た。』


『ちっ…』



ハイドはその言葉に動揺しながらも、何とかしなくてはと何か善い作戦はと頭の中で模索していた。


すると…



『ふっ。君を始末しに来たというのは冗談だ。』


『冗談?』


『国王は君達を生け捕りにしろとおっしゃっておられたのでな』


『なら話しは簡単だ』


『ん?』


『お前は俺を殺せない…けど、俺はお前を殺せる…』

『ふっふ…“君が私を殺せる”っか…』


『仕方ない…少しだけ君と遊んであげよう。』



そう言うと、ロベールは自分の持っていた剣を鞘から抜いた。


そしてハイドもさっきまで見取れていた剣を鞘から抜いた。



『うぉぉぉ』


“ダッダダダッ”



ハイドは剣を大きく振りかぶり、ロベールにその剣を振り下ろした。



“ブォン”


“ブーン”


“ブーン”



しかし、何度ハイドが剣を振り回してもロベールにはカスリもしなかった。


軽快なリズムと無駄の無い動きでハイドの剣をかわしながら、ロベールはハイドにこう言った。



『はっはは君にはまだその剣は早いんじゃないのか?完全に剣に遊ばれてるぞ?』


『うるさい』


『殺してやる殺してやる』

“ブーン”“ブーン”