一方、その頃ハイドの方にもやはり追っ手は迫っていた。



―空き家だらけの村―



ハイドは一人、昨日の豪華な空き家に入り込み、奪う物を物色していた。



『ん〜…何が善いかなぁ』



ハイドは綺麗なガラスの花瓶を手に取った。



『ん〜こんなの持って帰ったらまたローの奴が怒るんだろうなぁ〜。』


『やっぱ食い物だよなぁ』


ハイドは屋敷の中にある大きい台所に行き、今度は食料を食べながら、ローの元へ持ち帰る食料を袋の中に詰めていた。



『大体、ローの奴は、食い物以外に目がなさすぎんだよなぁ。』


『あこれも旨そう』


『あこれも』



あらかた食料の袋がいっぱいになり、満足しながらも他に善いものが無いかと、家中を見て回っていたハイド。


そんなハイドが次に目を付けたのは、二つの綺麗な剣だった。



『うっほぉ〜こりゃローの奴も喜ぶだろうな』


『何だかんだ、俺達の剣は奪った時からおんぼろだった剣ばっかだったしな。』

『やっぱ剣はこれくらい立派な奴じゃなきゃな』


『優れた剣客には優れた剣だよなぁ』



ハイドがその立派な剣を鞘から少し抜き、輝く刃を眺めながらそんな独り言を言っていたその時、ハイドの背後から見知らぬ男の声がした。



『確かに君の言う通りだなハイ&ローのハイド君』


『ん』



ハイドは自分の後ろに誰かが居る事すら気付いて居なかった為、その息なりの声にビックリしながら声のする方へと顔を向けた。



『いや、君の本名は“ハイド・アイン”君だったかな?』



すると、ハイドの後ろに、腕を組みながら、足を交際させ、壁に寄り掛かる長髪の男が一人居た。



『お前は誰だ』


『なんで俺の名前を知ってるんだ。』



ハイドがその男にそう聞くと、その男はこう言った。


『そんなのは少し考えれば分かるだろ?君の片割れが我々の手に落ちたからさ』


『我々?』