『“何で”って言われても…“状況を見れば”解るじゃない』


『“状況”?…ですか?』

『私の考えが正しければ、貴方は“帰る場所を捜してる”って事かしら』


『まず第一に、貴方のその格好ねひと目で貴方が、この国の人じゃ無い事くらいは解るわね』


『だって、この国の人ならそんな男装みたいな格好はしないですもの』


『もし、貴方がこの国の人でそんな格好をしてるんだとしたら、間違いなく貴方は“異端者”ですけどね。』


『実際、今のこの国じゃ、本物の異端者ですら、そんな格好はしないわ』


『もし、そんな格好をしている異端者を国の役人にでも見られたら確実に、魔女裁判か、異端者裁判に掛けられますからね』


『問題は、“貴方が本当に怪しい人じゃないか?”って事だけど…私はジャンヌの母親よ子供の嘘くらいは、母親なら見抜けて当然ですからね』


『それで、さっき森で盗賊達からジャンヌを救って貰ったのは事実だって解ったんです。』


『だから、少なくとも貴方は“悪い人では無い”って事は解ったんです。』


『そして最後のジャンヌの言い回しからして、あれは何かをお願いする時のジャンヌの反応ね』


『これら全てを踏まえた結果。貴方は少なくとも、この国の人じゃ無くて、そんな格好をしてても何の問題も無い様な場所に住んでる方。』


『そして、理由までは解らないけど、そんな貴方が森でウチのジャンヌを助けてくれて話しの流か何かで“貴方が帰れるまで、ウチに泊まって”ってジャンヌが言ったんじゃないかしら?』



“この人凄い”俺は、単純にそう思って言葉を失っていた。


そして、俺がそんな事を思っている間も、ジャンヌの母親の話しは続いていた。


『だから、それを私達に貴方をウチに泊めて良い?って言おうとしたんじゃないかしら』


『それで私も“善いわよ”って言ったんです。』


『娘の命の恩人を、粗末に扱ったら、神様になんて言ったらいいか解らないじゃないですか』