『その魔女裁判に掛けられた奴が、本当に魔女じゃ無くても“自分が魔女である”って言うまで激しい拷問を強いられてたんだぜ?』

『勿論、一度認めたら最後…拷問は終わるけど、結局そいつは“魔女”って事で火刑だろ?』


『つまり、魔女裁判に掛けられた“時点”で、そいつの未来は決まっちまってんだよ…』


『本当…“くだら無ぇ風習”だよな…“魔女狩り”ってやつは…』



すると、俺の言葉を聞いたエドワードが目を丸くしながら言った。



『お前、歴史の授業に興味無い割には詳しいな』


『あぁ、歴史に興味は無ぇけど、“同じ名前”だからな』


『子供の頃に、調べたんだよ。“これだけ”。』


『ふ〜ん。』


するとまたエドワードが話しを続けた。



『じゃあ“これ”も知ってるか?』


『今度は何だよ?』


『異端裁判に掛けられたジャンヌは裁判の途中で自分が“異端である事を”認めたんだ』


『は?“それなら”ついさっきマルグリットの奴も言ってただろ?』


『いや、最後まで聞けよ』


『良いか?異端裁判の途中に“自分が異端である事を認めたジャンヌ”が“何故”一度極刑である“火刑”を免れたんだと思う?』


『ん』


『さっき、お前も言ってたが“一度認めたら最後”火刑は“確定”の筈だろ?』

『“魔女裁判”の“魔女”と“異端裁判”の“異端者”が同じ極刑とは限らないじゃ無いか』


『えっと…じゃあ、異端裁判の“異端者”と魔女裁判の“魔女”が“違う”って事だな』


『あぁ、多分な』


『じゃあ、これはどう説明する?』


(まだあんのかよ…)


『あ?今度は何だ?』


『異端裁判中に自分が異端者である事を認めたジャンヌは極刑である“火刑”は免れ“永久牢獄”となった。』


『しかし、その裁判の判決が下された“次の日”裁判の結果上異端を認め“更正した”筈のジャンヌがまた男装をして異端者へ戻ったんだ』


『これは流石に可笑しく無いか?』


『やっと火刑を免れた次の日にまた男装して“異端者”に戻るのは。』