『ってか、それなら可笑しく無ぇ?』


『何が?』


『いや、だって、そのお祈りとかは、ともかくその教会に居る時間自体は“1時間〜1時間半位”何だろ?』


『うん。』


『なのに、何で鐘の音が鳴ってから、高々10分足らずしか経って無いのに皆帰って来てるんだ?』


『それはそうよだって私達が森で聞いた鐘の音は、教会のお祈りが“終わった事”を知らせる為の鐘の音だもの』


『ん………』


『じゃあ最初っから終わってたんじゃ無ぇかぁ』


『テヘ』


『“テヘ”って…“テヘ”っじゃ無ぇよ笑ってゴマカスナ』


『そもそも、そんなお祈りが終わった事を知らせる為の鐘の音を聞いた後に“まだ家で誰か待っててくれてるかも”って考える方が可笑しいだろう』


『え?そう?』


『当たり前だろう』


(何ジャンヌって…“あの歴史的に有名な聖女ジャンヌ・ダルク”ってこんなに“惚けた奴”だったの)


(あぁ〜ヤベー。先が“超不安”になってきた…)


『俺はてっきり“優しくて勇敢な女剣士”的な人を想像してたんだけどなぁ…』


俺はつい、心の中に思った言葉を知らず知らずの内に呟いた。



『何か言った?』


『いや、何でも無い…ハァ〜…』



俺はつい溜め息をついてしまった。


その時、教会側から歩いて来る人々の中から俺を呼ぶ声がした。



『お〜いジャンヌ』


『え俺の事か?』



俺が咄嗟に、その声に反応すると、俺の横に居たジャンヌも反応していた。



『あまずい…お父さん達だ…』


『お父さん?』


『あそっか…今呼ばれたのは俺じゃ無いのか』


『同じ名前だと紛らわしいなぁ。』


『ってか…この時代に俺の事を知ってる奴なんて居ないか…』


(まぁ、そんな奴が居るとすれば、あの訳の解らないミカエル似の“ロー”って奴ぐらいなもんか。)