俺はこの時何故か、ジャンヌにミカエル達の声の事を口止めした。


実際、俺が何でジャンヌに口止めしたのかは、俺自身も解らなかった。


(何で今、俺はジャンヌに口止めしたんだろう?…)


俺がそんな事を考えていた矢先、ジャンヌは少し先に見える大きな教会を指差しながら俺に言った。



『ほら見てジャンヌあれが村の教会よ』


『へぇ〜“あれ”が』


『しっかしデケェなぁ〜』

『“デケェ”?』


『ああ…“大きい”って意味かな』


『へぇやっぱりジャンヌの世界の言葉は私達の言葉と若干違うのね』


『あぁ、まぁね』




『じゃあ、こう言えば善いのかしら?“あの教会はこの辺じゃ1番デケェ教会なのよデケェでしょ”』

『………ジャンヌ?…あまり“無理”して合わせなくても善いんだよ?』


『え?何か可笑しかった?』


『うん…“全体的”に…』


俺は、言葉に詰まった。


すると、教会に向かう俺達とは逆に、教会からゾロゾロと村人らしき人達がこちらに向かい歩いてきた。



(あれ?もしや“終わっちゃった系?)


『嘘でしょ〜』


『こんなに走ったのに〜』


『まぁ、まぁこんな時も有るって』



ジャンヌは半ベソをかきながら落胆した表情をしていた。



(そんなに落ち込まんでも…)


『ってか、速くねジャンヌ、さっき俺達が森で鐘の音を聞いてから10分位しか経って無ぇじゃん』


『教会で皆で集まって何をしてたんだ?』


『“何”って勿論“お祈り”よ。』


『へぇ。じゃあ、その“お祈り”ってそんなに速く終るんだ』


『いいえ。お祈りは大体“1時間〜1時間半位よ。』


『はそんなに長げぇのそんなに願い事が多いのかよ欲張り過ぎじゃね』

『違うわよ…基本的に長いのは神父様のお話や、村の人達の雑談とかよ。』


『あぁじゃあ、お祈りって言う口実で集まって、ただ“くっ喋る”だけか』

『“くっちゃべる”?』


『あぁ、ゴメン、めんどくさいから、そういう解らない言葉は流して善いよ』