俺が必死に宙を舞うナトリウムを追いかけ、湖に入らないようにしようとした。


“ポトン”


“コロコロ”



ナトリウムの玉は湖の手前で何かに引っ張られるようにして止まり、地面に落ちた。



『え』



その光景に目を真ん丸にする俺。


そんな俺を見て笑いながらミカエルが言った。



『フハハハゴメンゴメン驚いた?』


『優しいんだねジャンヌちゃんって』


『え?…』



すると、良く見ると、ミカエルの左手の中指に釣り糸の様な透明な細い糸が付いている事に気が付いた。



“コロコロコロコロ”



ミカエルはそう言いながら、その糸を手繰り寄せ、ナトリウムの玉を自分の所まで引きずった。


その様子を見た俺はミカエルに怒った。



『お前何してんだよこの〜』



今にも殴り掛かりそうな俺に、必死に謝るミカエル。

今想えば、この時からかも知れない。


俺にとってミカエルが“ウザイ”存在になったのは…

そして、それから俺とミカエルは頻繁に親父の研究所の中庭で会うようになり。

何だかんだで、親父の仕事の終わりを待つ俺の遊び相手になっていてくれたのかも知れない。


そして、気が付くと、俺にとってミカエルは、色々な事を教えてくれる様な奴になっていた。


親父達の研究している元素の事…


ミカエル達が研究している時間学の事…


そして、数々の事を教えて貰った俺は、親父達の研究している元素研究で作られた魔法化学を俺も使いたくなり、俺の身体の中に魔法化学の機械を入れる事に反対した親父を一緒に説得してくれたり。


剣術の試合で負けた時に慰めてくれたり。


親父と喧嘩をした時とかに相談に乗ってくれたり。


困った時は、何だかんだで、手を貸してくれたり。


悩んでる時は一緒に考えてくれたり。