そして、ミカエルはニコニコしながら上着のポケットに手を入れた。



『あははな〜んだそれで君は僕を警戒していたのか』


『それなら安心して君が水達から聞いた“悪魔”ってのは、多分こいつの事だよ』


『“こいつ”?』



そして、ミカエルは上着のポケットの中からゴルフボールに良く似た真っ白い玉を取出した。


俺はその玉を見ながらミカエルに聞いた。



『何?この白い玉。』


『ん?これはねぇ“ナトリウム”って言うんだ』


『“ナトリウム”?』


『まぁ正確に言うと、ナトリウムにちょっと手を加えて作り上げた“ナトリウムの結晶”の様な物かな』

『“ナトリウムの結晶”?』


『ジャンヌちゃんは知らないだろうから教えといてあげよう』


『ナトリウムって言うのはね、水に入れると凄まじい化学反応を起こし、凄い勢いで水柱が出来るんだよ』


『へ〜。でも水と仲が悪いのって油じゃ無いの?』




『うん確かに高温の油に水を入れるとバチバチなるけど、それは、油に熱を加えた状態の時だけだろう?』


『例えば、普通の温度の油と水を混ぜても、分離はするけど、あんな反応は起きないし。』


『逆に、高温の水…つまりお湯に油を入れても何も起きないんだ』


『それに比べてこのナトリウムは温度とかに関係なく激しい化学反応を起こすからねぇ下手したら、さっきジャンヌちゃんが言ってた様に、水にとっては悪魔なのかも知れないね』


『ふ〜ん。』



この時のミカエルの説明をまともに理解できずに居た俺。


そんな俺にミカエルはニヤケながらこう言った。



『“百聞は一見に如かず”ってね』


『そんな難しい説明をしてもジャンヌちゃんには解らないだろうしこのナトリウムを湖に入れて見ようか』



そう言ったミカエルはその真っ白い玉を湖目掛けて放り投げた。



“ヒュー”


『やめろ〜』