僕らが知り合ったのは

学校の図書室

顔と名前しか知らない


話したこともない





君は

綺麗で

勉強も良くできる

いわゆる完璧な人だった




それとは逆に僕は

読書に明け暮れることが多かった







そんな真逆な僕達は

接点なんて
無いと思っていた

遠い存在




そんな君と僕がしていたこと

「本の追いかけっこ」




必ず読んだ本の

貸し出しカードには

僕の次には君の名前があった



最初は「単なる偶然」

そう思っていた。


だけど

それが何回も続くので


普段読まないような

大学レベルの本などを読んだ。


しかし

僕の隣には


君の名前が書いてあった。




声も聞いたことない

目を合わせたこともない




臆病な僕は

それからもずっと


君の姿を図書室で

見るだけだった






それからしばらくして

僕らは卒業の日を迎えた



──好きという

心の中にある気持ちを


隠したまま