「さっき言った通り、全国で諸説混ざり合っているから色々あるよ。
『見越入道、見抜いた』って言うタイプがスタンダードだね。『見抜いた』『見越した』『見ていた』あたりかな。
刀で斬り付けると消えた話も多くて、杖で叩いたり、地上から1寸ばかりを蹴るなんて話もある。
見上げれば伸びて見下ろせば縮むとか、差し金や物差しで測っていくと消えたなんて話も……」


―物差し―

その単語を聞いたとたんドキリとして、息苦しくなる。


頭の中に浮かぶのはスタンドポール。

バーを設定する為のメモリ。


あぁ。

あぁ。

苦しい。


「神山さん?」
五十嵐が名前を呼ぶ。

「何かあったのなら聞くよ?」


救いのように降る言葉

その言葉を待ってるつもりなんてなかったのに

それがまるでスイッチみたいで


私は一気に吐き出した。