五十嵐の部屋は思ったとおり和室で、
思ったよりも綺麗だった。

ただ、据えられた本棚には参考書とかと一緒に『妖怪』のタイトルが踊っている。


うわ!なんだアレ?

棚の一番上は妖怪?のフィギュアがぞろりと並んでる。

夜とか怖そうだなー。


五十嵐が小さな折れ脚テーブルと座布団を並べて、
「ちょっと待っててね」
そう言って出て行った。

なんとなく、本棚に背を向けて座る。


外ではミンミンと蝉が鳴いている。
早いなー。まだ夏休み前なのに。


しばらくして、五十嵐が麦茶を持って戻って来た。
なんとなくこの家だけもう夏っぽい。


五十嵐は斜め前の机の方に座った。


貰った麦茶に口を付けるのとほぼ同時に、


「見越だよね」
すぐさま五十嵐が話を始めた。