そこに立っていたのは、亮汰。

部屋に入ってきてあたしを見るなり
目を見開いて突っ立っている。


「な、何?」

少し焦りながら聞いてみた。


「…ゎぃぃ―。」


「は?」

声が小さいので聞き返す。


「可愛い!」

そう言うのと同時に亮汰は
あたしを抱きしめた。

「え、ちょ、何?!」

必死で亮汰から逃れようとするあたしに、
亮汰は抱きしめる腕の力を強くした。


「あーもう可愛い!ぜってえ男が見てくんじゃん。
 変な奴らに千咲は渡さねえ。」


あたしの耳元でそう言うので
反射的に顔が赤くなるのがわかる。