「席につけー。」


「乙女、後でね!」


香は速足で席に戻っていった。


私は窓側の席で前から三番目。


グランドが見えて桜が散っている。


誰一人いない校庭。


走りたいなー。


私これでも陸上部に所属している。


朝のホームルームが終わると同時にグランドに二年生が出てくる。


まだまだ肌寒い春。


先輩たちは、鬼ごっこを始めた。


私はグランドを見るのが好きで授業なんて頭に入らない。


「外ばっか見てたのしい?」


「へ?」


隣から聞こえる声に振り向く。


この人話したことない。


何か学年一モテるとか言われてる人だ。


「…。」


私は何て返して良いのか分からなくて黙ったまま。


「黙ってんじゃねーよ(笑)」


「ごめんなさい(汗)」


何で私があやまってんだろ?


「いや、謝る意味わかんねーし(笑)
外ばっか見てるけど何か楽しいの?」


「えっあっうん!」


「そっか。」


彼はそう言うとまた前を向きなおした。


いきなりなんだろう。