「お邪魔します。」


隆太の家は学校から歩いて15分くらいの所にある案外近いマンションの五階だった。


「誰もいねーから。」


「共働き?」


「いや、俺家母さんいねーし。
父さんと二人暮らし。」


私は聞いてはいけないことを聞いた気がしてすかさず謝った。


隆太は気にすんなって言ってくれたけど実際悲しいんだよね? 


何となく隆太の背中を見てそう思った。


それと比べて私は両親がちゃんといる。


それだけでも幸せなことなんだよね…。


「ここ俺の部屋な。」


隆太の部屋はシンプルでベッドとテレビとテーブル位。


「生活感ないね。」


「うるせーよ(笑)」


私は窓から外の景色を眺めた。


「眺めいいね~。」


「乙女は外見るの好きだしな(笑)」


少しバカにしたように言う隆太に


「私はグランドを見るのが好きなのっ。」


と、言った。


「まぁ座れよ。」


隆太に指差されたベッドに腰を下ろす。


「乙女?」


「何ぃ?」


「お前あんまのこのこ男の家とかついていくなよ?」


「隆太何言ってんの?(笑)」


じゃぁ、なんで誘ったの?


「俺は、良いけどよ。
男なんて何考えてるかわかんねーだろ?」


自分だって男の癖に。


「うん。」


私はとりあえず返事しといた。