「で、でもさ!池谷くんも毎日こんな時間まで残ってくれてるじゃん?その……大丈夫なの?」
「何が?」
「か、彼女さんとか、怒ったりしてない……?」
勇気を振り絞って、聞いてみたのに。
何故か、
「柚……それ、本気で言ってんの?」
「え、ええ……?」
池谷くんは、耐えられないとでも言いたそうに、お腹を押さえて笑っていた。
しかも、腰を曲げて、くの字の状態で。
……池谷くんって、こんなにも楽しそうに笑う一面を持ってるんだ。
新たな一面、発見。
そんなことを考えている間にも、笑いがやっと治まった池谷くんは、お腹から手を放して、あたしのほうを見ていた。
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