一瞬、天地がひっくり返り、
真横に倒れそうになった体を
私はなんとか立て直した。
「あかり!大丈夫!?」
「うん、大丈…ぶ…」
私は グルン と隣を振り返った。
「花菜!?」
「うん。どしたの?大丈夫?」
けげんな表情の親友は、
今はなつかしい
セーラー服を着ている。
しかも…
「花菜…若くなってる…」
「えぇ!?なに?
ちょっと、あかり、なに言ってんの!?」
そのとき私は気づいた。
「ここ、南高の学食だ…」
そして、窓に移った自分の姿を見て、私は我が目を疑った。
そこにいたのは、
ボブの黒髪に、まだ化粧っけの薄いあどけない顔。
まぎれもない高校時代の私だった。
「あかり!!…」
花菜の叫び声が、
遠ざかる意識のなかで
かすかにきこえた。