次の日、あたしは慎重に行動をおこすことにした。
なっちゃんに直接伝えることはできないから、注意を促すことは不可能。
なら、あたしがなっちゃんの周囲に注意を配るしかない。
とにかく観察だ。
その日の出来事、関わった人などを事細かに記録する。
【今日のなっちゃん、いつも通り、ホームルーム開始直前に登校。
一時間目の英語は爆睡。
二時間目の体育はサッカーだったのですごく楽しそうだった。】
「あかり、なにそれ…ストーカー日記?」
「か、花菜!?いや、ストーカー日記って。ちがうよ!」
とか言いつつも動揺してしまう、あたし。
確かにやってることはストーカーっぽいかも。なんか恥ずかしくなってきた。
いやでも、これもなっちゃんのため!
なっちゃんを助けるためだ!
なっちゃんを無実の罪から救うためなら、あたしがストーカー扱いされるくらいなんだ!
…でもなっちゃんには知られたくないな。絶対引かれそう。
「あかり、いくら好きでもストーカーはやっちゃだめだよ?ね?」
そのあと花菜にお説教をくらってしまったため、ストーカー日記…じゃなくて、観察日記は家でこっそり書くことにした。
とにかく記憶できるだけ頭に詰め込んで、それを家でノートに書きまくる。
些細に事でもできるだけ逃さず、正確に。
情報は多いほうがいい。
相手がまったくわからないから。
そう、あたしがこんなことをするのには理由がある。
当時からずっと思ってた。
あの事件は、誰かが意図的に起こしたもの。
なっちゃんは、はめられたのだ。