依頼人の仲西雄大の容姿は、身長の割には身体の線が細く目の下には黒い三日月の隈があり、不衛生ささえ感じてしまう。
歳は二十代後半ぐらいだろう。

「で、早速だが本題に入らせて貰う。何故、依頼したお前が自分を殺して欲しいと依頼したんだ??」

と、俺と対面の位置のソファーに座る仲西に問い掛けた。

仲西は、少し間を作ると俺の方を真っ直ぐ見て口を開いた。

「正義のためです。そのために俺を殺してください」

俺は仲西の発言に少し笑い、口を開いた。

「俺に向けてそんな発言をすることは、正義のヒーローが悪役に殺してくださいと子供の前で土下座するようなものだ、そんなの正義とは認めてはくれないだろう??」

すると、仲西は「正義のヒーローの仕事は魅せるもんじゃない、救うもんだ」と俺に言い返したのだ。

「確かにその通りだな、分かったよ依頼を受ける事にしよう。だが、理由は一体何なんだ??」

仲西は少し戸惑いの顔をしながら話し始めた。

「俺の親は表では善人で頼りになる市議会議員なんですけど、裏では多額のお金を横領している悪魔なんです」

仲西は眉間を寄せて眉を上げていた。

「形ある物全てには裏は存在するだろう。コイン、幣紙、カード、女、物語、裏と表が必ず共存してないと駄目になるんだよ、だから俺みたいな奴もいる」

と俺は仲西に放った。

「それだけじゃない!!アイツはクズなんだよ!!」

膝に上に置いている仲西の拳が強く握って震えているのが見えた。