「今度は、どんな依頼だい??」

掠れた声で少し聞き取りにくいが、決して嫌な感じではなく、息子に語り掛けるように優しくて柔らかい話し方だ。

「変わった依頼が飛び込んで来ましたよ」

と苦笑気味に昨日の内容を話すとマスターは顎髭を伸ばすように伸びた髭を撫でながら笑った。

「お前は、いつも災難というオマケを連れてくるからなぁ、気を付けろよ」

初めから心配する素振りもないように骨格を上げて楽しむようにマスターは微笑んだ。

「馴れてるよ、俺はいつもこんな感じだから」

俺は両手を少し上げて手のひらを天に向けて、アメリカンスタイルのように困ったとディスチャーした。

その数分後、喫茶店のドアの鈴がカランと乾いた音が鳴った。

マスターは立ち上がり俺の肩を軽く叩きながら、

「噂をすればって奴だな」
と言って、特別室を後にした。

俺は、何を言っているのか分からなかったから、とりあえず笑った。

そして、マスターが特別室を出て数秒後に依頼人らしき人物が特別室のドアから顔を出した。

この事か、と驚きながらマスターは何でも知っている神かと思った。

「どうも、こんばんわ」