そんな仲西雄大を眺めていた夏目が口を開いた。

「あなた、私にお金に執着してるとか言ってくせに欲張り過ぎよ」

仲西雄大は笑みを浮かべながら喋り始めた。

「そうですね、僕は欲張りなんですよ。裕福な家庭で育ったせいですかね、僕の欲しいものは必ず手に入っていましたし、この願いも叶うのですよ。必ず」

仲西雄大は体は成人だが中身はまるで子どものようだと俺は思った。

仲西雄大の合図で俺たちの周りを囲んでいる仲西雄大の仲間が銃口を俺たちに向けて来た。

「すみません、お話は終わりにしましょう。もし、僕の元で働いてくれるのであれば生かしてあげますけどどうしますか??」

夏目と俺は仲西雄大の誘いを丁寧に断ると仲西雄大は「残念です」と言葉を落とした。

いよいよ戦争かと思い俺が銃を握りろうとした時、夏目が不思議な言葉を発した。

「魔法ってご存知かしら、私は魔法が使えるのよ」

そんな言葉を聞いた俺はとうとう夏目は恐怖でイカれたのだと思った。

「こんな時に何を言い出すんた。もし君が魔法が使えるなら日本の漫画を読む子どもが夢を持たなくなるだろう」

俺が呆れたように呟くと夏目は少し眉間に皺を寄せた。

「あら、失礼ね。私は嘘をつくのが嫌いなのよ」

そんな一連の会話を聞いていた仲西雄大は楽しそうに笑った。

「夏目さん、あなたはとてもユニークな人ですね。そんなこと出来るならこの圧倒的に不利な状況を変えてみてくださいよ」

夏目はバカにされていることを気にせずに「いいわよ」と言葉を投げつけた。

夏目が指を鳴らすと少し前に俺が殺したはずのスーツを着た男たちが立ち上がり俺と夏目を取り囲む仲西雄大の仲間に向けて銃弾を放ったのだ。

この時、俺は魔女が本当に存在していたのかと思った。

その次に俺は仲西雄大の頭に向けて銃弾を放った。

これが初めて頭を狙い撃ちした記念日になった。