「気にしなくていいよ、テンチョー店長。汚したのは僕だから。すいません、僕なんかが床汚しちゃって」


「おいちょっと、待て待て。おまえが汚したの? じゃあ磨くの当然じゃねえかよ。ステーキのタレでもこぼしたのか? それならしかたないけどな、ちゃんと報告して欲しいんだよね。何で汚したんだよ」


「まあ、タレみたいなもんだね。すいません、僕なんかがゲロ吐いちゃって」


「吐いちゃった!? 吐いちゃってたの!? ステーキのタレとは別物じゃねえか! なんかさっきからすっぱい臭いがするなと思ってたらそれか! あと、なんでさっきからタメ口なんだよ! イラっとくるんだけど!」


 ロースはデッキブラシを両手でつかみ、高々と天井へ掲げ、そのまま上半身を倒しながら土下座の体勢に入った。

勢いでデッキブラシの先から、磨かれる前の床についていた嘔吐物が吐き出される。

ビチャビチャビチャ。

萌えキャラの顔面を直撃した。