鏡で髪を整えて、リップクリームをぬる。



「愛美、がんばれ。
絶対だいじょうぶだよ!」



さっきから、こんな言葉ばかりを繰り返す美和たち。


階段を3階まで上っていく。

緊張するのと、息切れとで、心臓が壊れるんじゃないかってぐらいドキドキする。


先輩が来るまで、角のところにみんなで隠れて待つ。




先輩は、前と同じように、少しうつ向きながら歩いて来た。
私は勇気をふりしぼって、先輩のとこまで歩いていく。


『忙しいのに、すいません…』


言いながら、緊張を隠すように笑ってみせる。


先輩も、私につられたのか、緊張を少しでもほぐしてくれようとしているのか、顔をクシャッと崩して笑ってくれた。



初めて見た先輩の笑顔に、胸がキュンとなる。

この笑顔を見ると、強くなれるような気がした。



『好きなんで、よかったら付き合ってください』



私の口から、意外とすんなり出てきたコトバ。

ちゃんと、先輩の目を見て言えてたかな


唇をギュッと結んだ。