side:鈴

とりあえず相沢さんの車に乗った。

…相沢さん息子がおったんか?

…チッ。やっぱ結婚しとるんや。
しかも子持ち!
なぁーんかちぃっと冷めたわ…。

「…ハァ」

「何ため息ついとんの、鈴?」

「…何でもあらへん。ちっと、オッサンに冷めたんや」

「だから誰やねん!そのオッサン!!」

「響うるさい!オッサンは………………」

ウチはこれ以上何も語らず、流れていく外の景色に顔を向けた。

「アァ~~!!ごっつ気になる~!!!そのオッサン気になる~!!」

両手で頭をぐしゃぐしゃしながら響がわめいとる。
すぐ横におるさかい、うるさくてかなわんわ。

「君達がいると車の中が賑やかになるね」

今、響が気になっとる、“そのオッサン”こと、相沢さんが助席から話しかけてきた。

斜め後ろに顔を向ける仕草!!

ヤメテや!!
ウチ、禁断の恋とかダメやねん!!
ついでにドロドロも無理や!!

…せやけど、

「…やっぱ、オッサンでもええわ…」

「また出た!!ホンマさっきから何やねん!!
誰やねん、そのオッサン!!!」

「…鈴ちゃん?」

ハッ!!!もしかしてウチ、
「…声に出しとった?」

「「バッチリ」」

さよか。まぁええわ!!

「相沢様、着きました」

「着いたって。さぁ、降りて」

ドアが開き、ウチと響が車から降りる。