「あ、あのな…たっくん…」

さっきの大声とは違う、うちの控えめな声にたっくんはゆっくりとうちをみた。

「…お、おおきに…」

お姫様抱っこやらさっきのうちの独り言やらを思い出し、改めてお礼を言うのが恥ずかしくてうつむいてしまった。


「…次からはちゃんとよけろ」

パッとうちは顔を上げ、たっくんをみた。
たっくんはうちをみず、前を向いたままだった。

…素っ気ないけど、これがたっくんの優しさなんや。嬉しいな。
なんか、ちょっと好きな人と…たっくんに近づいた感じがした。


「よけるっ!!マッハで何でもよけたるっ!!ボールでもリングでも人間でも何でもや!!」

「……人間は助けろよ」


たっくんの冷たいツッコミを受けながらうちはずっと笑顔だった。


…相変わらずの冷たいたっくんのツッコミにも笑顔で耐えるうち……。


健気やっ!!

ホンマは傷ついてんねんで!!
気づけアホ!!

帰ったら響で憂さ晴らししたる。