ケガは口元だけではなく、腕や足までも深く傷が入っていた。
もうボロボロって感じ……大丈夫じゃないでしょ。
生徒は素っ気無く先生の言葉をスルーしてあたしの隣にドスンと座った。
…やばい、緊張するーっ!
「もうダメよ?次あんな事件起こしたら、退学処分…あるいは少年院になっちゃうわ」
どこまでやばい人なのっ?!
あたしは会話だけで色々と想像して怖くなった。
…って何であたしが保健室にいるの?ケガもしてないのに…
先生がふいに腕時計を見て、ウーンと困った顔をした。
「どうしたんですか?」
生徒の代わりにあたしが先生にたずねた。
時計を確認するなり、白衣を脱いだ先生はそそくさと荷物などをカバンに片付け始める。
「ごめんなさい、今から私出張で出かけなきゃいけないの。まだ天草くんの治療してないけど……あなた名前なんていうの?」
「夏川ですけど…」