これ以上見ていられなくなって、悠里くんの腕を引っ張った。
「もう、やめてっ!」
あたしの叫んだ声に我に返った悠里くんは、殴る手を沈めてあたしを見つめた。
今にでも泣きそうになるあたしは…必死で目を見て訴える。
先輩ももう手を出してこないだろうし…他の取り巻きは逃げてしまったから。
「お前…こんなケガしてんのに、何言ってんだよ」
あたしの事心配してくれてる…
久しぶりに悠里くんの声を聞いた。
3年の先輩は隙を見て姿を消してしまった。
…良かったぁ。
「大丈夫かっ?」
「うん…悠里くんこそひどいケガだよ…」
涙が溢れてぽろぽろと流れた。
それを見た悠里くんは優しく涙を拭ってくれる。