「ほら、その顔……」 佐伯君の手が、あたしの頬に触れた。 「俺、反堂さんが好きな人がいるって知ってるよ。誰かとは聞けないけど、きっといるよね?」 切なそうな顔をして、少しだけ眉を下げて、佐伯君は微笑んだ。 「でも、俺、反堂さんが好きなんだ。ずっと勇気が出なかった。よかったら、俺をとってくれないか?俺は、そんな悲しい顔……反堂さんにさせないから。」 佐伯君は真剣だ。 目が訴えてくる。 頬に触れた手が訴えてくる。