「ただいま~!!」

「ただいま。」

父さんと音葉はお出かけ中だ。

「そろそろお昼の時間だし、なんか食べようか!!」

「そうですね。」

水奈さんは料理を始めた。

「ねぇ、弘樹くん。」

「何ですか?」

「そろそろ敬語は…。」

「あっ、すいません。つい。」

水奈さんはビーフシチューを作りながら聞いてきた。

「私、まだ、弘樹くんに認められてないんだね。」

「えっ?」

「家族って。」

「いや、そんなことはないんですけど…。」

なんか空気が重い。

「あはは!!ごめんね!!暗い感じにしちゃって。はい!!できたよ~!!」

無理やり笑顔を作る水奈さん。
こうやって生きてきたんだな。

「どう?おいしい?」

「めちゃくちゃうまいっす!!」

「なら良かった!!」

家族って認めてるよ、水奈さん。
ただどう接していいのか戸惑ってるだけだよ。