「な、なぁ優衣?」

「許せなかった…!絶対許せなかった…!私のお人形だいて、私"たち"、誓ったの!『私のお人形にひどいことしたあいつらに、同じことをしてやる!あいつらの友達もみんな!同じ目にあわせてやる!』って…」

優衣の声はもはや普通じゃなかった。

「復讐してやる!復讐してやる!復讐してやる!復讐してやる……」



優衣が何度も同じ言葉を繰り返す中、俺はパニックと闘っていた。

優衣が壊れた…?

でもなんだか、それだけじゃない…。

俺は茫然と自分の部屋の前に立っていると、あることが頭によぎった。


『英明くんも健志くんも真由美ちゃんも!荒崎くんが殺したんだ!?』


なんで優衣が健志の死を知っているんだ…。

あの健志のことは何も言わなかった…。

ならなんで…?


『腕なんか、片腕しかなかった…』


カタウデシカナカッタ…。


「……………」

俺はふらりと自分の部屋に入った。


このままベッドの上で寝てしまいたい。


起きたら全て戻っててほしい。


何もかも夢だったと信じたい。


どうして…どうして…こんな…。


あの人形を、山に捨てておけば…。


「だからね…」

優衣が静かに言った。

「三澤の友達は…みんな同じ目にあわせてやるの…」

「なんで…」

俺はかすれた声で言った。キャンプから今日までのことが頭を駆け巡った。

俺から全身の力が抜けて携帯が床に落ちた。


そのとき、机の上の人形が目に入る。