「じゃあ、失敗とかしたのか?」

「うん、いっぱい…」

「ふぅん…」

「そのころね、小学生くらいの時だけど、お人形作りが流行ったの」

「女子の間に?」

「うんそう。私もがんばって作ってたけど、下手でさ…。あんまり人には見せたくなかったの」

「ふぅん…今じゃもう、プロなのになぁ」

「ふふ…でも、そのときの親友が、お人形交換しようっていったから、私『いいよ』っていったの。その子とは仲良かったし、私がお人形作り下手なの知ってるから…」

「その子も人形作りうまかったんだ?」

「それで私ね、自分なりにその子に似た人形を作ったの。針が指に当たって、ケガとかいっぱいしたけどさ、まぁまぁいいかなぁってぐあいにできあがって」

「…そのころにはもう才能が開花してたんだ」

「私それでね、次の日、その子にお人形渡そうとしたの、指のケガ見せたくないから箱に入れて、彼女の机の上に置いてた」

「その友達は喜ん…」

「そしたらしばらくしてその子が来た。他の女の子も一緒だったし、ちょっと恥ずかしかったから私、物陰に隠れて見てたんだ。…どんな風に喜んでくれるかなぁって…」

優衣の息がどんどん荒くなってきた。

「でも…!その子は私の人形を見るなり、大声を出して笑ったの!『下手くそ、不細工』って!他の女の子も一緒に笑って!そして…私のお人形…腕を持って振り回して…そしたら私のお人形、腕がもげちゃったのに…今度は首を無理やり反対側に…!最後には…最後には…わ、私のお人形…」

優衣は大声を上げた。

「ゴ、ゴミ箱に捨てやがった!」

「優衣…?」

「私、その子たちがいった後、すぐにゴミ箱に駆けつけた。私のお人形、もうボロボロになってて…傷だらけで…腕なんか、片腕しかなかった…」