「優衣…落ちついてくれ…」

「なんでよ!どうして!?もしかして…!」

優衣はパニックになっている。

完全に冷静さを失っている。

「荒崎くん…なの!?荒崎くんが殺したの!?」

「優衣…」

「英明くんも健志くんも真由美ちゃんも!荒崎くんが殺したんだ!?」

「優衣!!」

俺の声に優衣はハッとしたようだった。

「…ごめんね」優衣は小さくつぶやいた。

「もう…何が何だか…わからないの…」

「…俺こそ、怒鳴ってゴメン…」

俺はなだめるように言った。

「優衣…この1時間もたたないうちに、友達が死んで…すごくショックだとおもう。でも…もう終わったから…」

「終わった…?」

優衣がかすれた声で言う。

「何が…?」

「この…わけのわからない事件だよ。もう終わった…と思う。あの人形が原因なら…」

「人形…?」

「うん。キャンプの時にな…」

「私、人形作るの、すごい好きなんだ…」

俺の言葉は優衣に阻まれたが、優衣が自分から話すのを聞いて、落ちつかせるのにちょうどいいと思い、俺はあの人形のことを話さなかった。

「そうだよな、すごく上手いよな」

「でもね、最初はあんまり上手くできなかったの…」

「ホントに?あんなに上手なのに…」

「なんでも最初はできないものだよ?」

「そっかぁ…俺はすぐあきらめちゃうな」

優衣はクスクスと笑った。

「荒崎くん、ぶきっちょだもんね」

「失礼な!俺だってなぁ…」

「うーん?」

「…なにもできません」

「あははっ…」

少しは落ち着いてくれたかな…?

俺はそう思いながら話を続けた。