しばらくすると、三澤から電話が来た。

俺が携帯とって、「はい」という前に、

「真。連絡とれない」

という声が遮った。

「はん?」

「だから、健志と連絡とれないんだよ。メールも電話も」

「確か?何分くらいたってる?」

「メールしてから10分たってる」

「それは異常だ」

「でしょ?あいつ女子からのメールは3分以内に返してくるのに」

俺は頭をかいた。

健志は確か、猫と格闘している。でも俺が電話してから30分はたってる。

「諦める」が特技の健志が猫を深追いするはずがない…。

そして女子からのメールを放置…。

「もしかして健志の身になにかあったのかも…」

「…やめてよ。こっちは英明のことでも色々堪えてんのに…」

「あ…悪い。じゃあ、優衣に頼めないか?とりあえず試しておきたいし」

「うん、頼んでみる」

ブッという音と共に電話が切れた。

その後俺は出かける支度をした。

もし、優衣のメールの結果がわかったら、健志の家に直接行こう。

「どのみち会う予定なんだ」

俺は携帯をポケットに入れると玄関に向かった。



玄関から親に「遊びに行く」と一言告げた瞬間、携帯が鳴りだした。

携帯を開く。

「優衣?」

俺は電話に出た。

「あっ荒崎君?」

「うん。優衣からなんて珍しいね」

「あ、携帯…あんまりいじんないから」

「へぇ。…優衣、大丈夫?」

「うん。今は結構落ち着いてる」

なんだが優衣の声聞くと安心する。

それと同時に優衣の声はか弱そうで、ちょっとしたことで崩れそうだった。

「そうか。怖い思いさせて、ごめんな」

「どうして荒崎くんが謝るの…?」

「なんか…英明の家…俺が行くべきだったなぁって」

「私たちが勝手に動いたんだから、荒崎くんは何も悪くないよ」

「…でもゴメン」

俺は静かに言った。