部屋の造りが同じため、相田との対談もやはり、床に敷いたクッションの上、低いテーブルを挟んでだった。もっとも、今野の時には紅茶だった飲み物が、相田の部屋ではコーヒーだ。

相田芽衣の話す木霊は、やはり流布されている木霊の四辻、呪いと、同じものだった。ふと自分の声がひとりの時、必ず辻で聞こえ始める。それが常につきまとうように、だんだんと頻度を増してくる。

やはり、木霊の呪いは自分の過去の言葉が反芻されるばかりでしかないが、恐怖をくすぐる要素ではある。

しかし拭いきれないのは、

(声が聞こえただけで、そんななも怖いものかしら)

相変わらずの疑問。

自分も、木霊を聞いている。自分の声が聞こえた気がする、疑惑。不信。不安。それが積み重なれば、相田や八木、今野のようになるのだろう……。

しかしそれにしては、それぞれの症状が急速すぎる気がした。

なにより、どうしてだれも、声の発生源を確かめようとしないのか。

(だれかが、邪魔を……?)

昨日は、瀬戸岡亜美が現れて、木霊の正体を確認できなかった。もしあれが、ゆいを邪魔したのだとすれば。

「……ねえ、相田さん」

「な、なに?」