ゆいは一度だけ頷き、燈哉がそれを当然知っていると思って、訊ねた。

「彼女、何号室?」

「一年生寮の108号室だ」

「ありがと」

短く、はっきり礼を言って駆け出していくゆいを見送り、燈哉は「へっ」と笑う。くすぐったそうに。

「なんでぇ、式神に礼言うなんざ、陰陽師らしくもない。そう思わねえか、なあ?」

そして振り返った彼の、背後には――。