特殊風紀委員は扱う案件によって風紀委員よりも重宝される。事件の難易度や特殊性により、学園――特に学校長から優遇されることもある。それを気にくわない風紀委員も多いが、実際に特風のひとりであるゆいにしてみれば、風紀委員のほうが実権力、行使力が高い分、うらやましい。たとえば、大義名分を振りかざした強制措置などが許されるのは、風紀委員のみである。その存在自体を秘匿する必要性を求められる特風には、その名前や陰の権力を行使したところで、初等部の子供ひとりにさえも命令できない。

表立って動くことの許された、強制措置権力を持つ風紀委員。

特殊案件を預かり学校長の懐刀として暗躍する特殊風紀委員。

桜木学園の風紀は、この二つがなければ成り立たない。本来優劣をつけられるわけではないのだが、両陣の因縁は消えない。それぞれはとても似た、しかしまったく違う色として、解け合うことがないのだ。

「私には頼らないんじゃなかったっけ? 学校長の懐刀?」

「まあそう言わないで。アンタも燻ってるのは性に合わないでしょ、正義の番犬」

「ふん別に。私はアンタに頼まれたから、頼まれたからしようがなく、よ」

「ま、なんでもいいわ」