「ちょ、ちょっと、いつものアンタらしくないじゃない……。いつもなら私が嫌がっても聞かせるくせに」

「いや、今回はデリケートっちゃデリケートな問題だが、別に解決しなくても俺、困んないんだわ。むしろ解決しなけりゃ大いに助かる」

「は?」

「つまり期末テストがなくなるってこった」

「ちょっと、なにそれ意味わかんない!」

思わず椅子から立ち上がり、燈哉の横に立つ。読んでいる漫画を取り上げて、睨んだ。

「なによそれ、テストがなくなるって、どういうこと?」

「嬉しいだろ?」

「そういう問題じゃなくて!」

たしかにテストがなければ勉強に追われなくていいが……手放しでは喜べない裏がある気がした。そしてその理由は、とても、そう、デリケート……。

ついでに言うなら、テスト勉強に費やした時間が無駄になるようで、癪である。

テスト勉強なんて面倒くさいことをしているんだから、テストぐらい受けさせろ。そんな、なくなれば嬉しいはずのものへ、本末転倒な訴えである。

「ンだよー、パスっつぅから話すのやめたのによ。やっぱり聞きたいのか」

「別にそういうんじゃ……」

ない、とも言い切れない。それを笑われた。